稲作の始まりとともに、田んぼの神さまを祭る田植え行事は全国各地で行われています。
なかでも、住吉大社では儀式を略することなく、当時と同じ格式を守り、華やかで盛大に行っている祭りとして有名です。
住吉大社御田植神事の由来
住吉大社の御田植神事は、神功皇后が田んぼを設け、御田(おんだ)を作らせたのが始まりだといわれています。
母なる大地に植付される苗には、強力な穀霊が宿るものとして考えられていたそうです。
田植えに際して音楽を奏で、歌をうたい踊りや舞を演じるのは、田や植付する苗に宿る穀物の力を増やすためだそうです。
穀物が豊かに育ち、稲穂が充分に実る秋を迎えるための儀式として、今でもおごそかに行なわれています。
植女や稚児など、行事に関わる人は、お祓いを受け、まず第一本宮で神事の奉告祭を行います。
本殿祭の後、神職はじめ奉仕者は行列を成し、御田へ移動します。その後、御神水を御田の四方に注ぎ清め、早苗の授受が行なわれます。
中央舞台や周囲では、次々と舞や踊りが繰り広げられ、見ている人を楽しませてくれます。なかでも住吉踊は有名です。心の字をかたどって踊る姿は、とてもかわいらしく和みます。
住吉大社御田植神事開催日
田植まつりは全国で行われていますが、特に盛大で歴史があるものとして 有名なのが住吉大社の御田植神事である「御田」(おんだ)です。 毎年6月14日に行われます。
社伝によれば1760年ほど昔、神宮皇后が長門の国から植女を召して 御供田を植えさせたのが始まりと言われています。
植女(うえめ)は、旧社領の堺乳守(ちもり)に落ちついて代々奉仕したそうで、植女は後に乳守の遊女になったので、遊女たちも実際には田にも入った そうです。
いつの時からか植女(うえめ)から替植女(かえうえめ)に苗を渡して代わりに植えてもらいました。明治維新以降は新町廓の芸妓が奉仕することになりました。
御田植神事は、昭和46年無形文化財に指定され、昭和54年に重要無形民族文化財に指定されました。
住吉大社御田植神事の次第
午後1時から、神事参加者、宮司以下神職、八乙女、植女、稚児、御稔女、風流武者、住吉踊りの子ども達、替植女、奉耕者等が石舞台で御祓いを受け、第一本殿にて神殿に供えられた早苗が植女に手渡され、祭儀が済むと宮司以下が行列を整えて神田にわたります。
神水による御祓いのあと、植女から替植女に早苗が渡され、田植えが始まります。
田植えが行われている間、神田の中央の舞台や周囲で舞や踊りなどの行事が行われ、これらの行事が終わった頃に田植えが終わっています。