美浜町日向(ひるが)で、この水中綱引きが行われるようになったのは、江戸時代初期の1630年頃であったと言われています。
むかしむかし、日向湖と若狭湾をつなぐ運河に大蛇が出て川をふさいでしまい、舟が通れずに村人たちは大変困っていました。
若狭美浜町水中網引き
若狭美浜町水中網引きは、国選択無形民俗文化財です。
昔々、日向(ひるが)湖と若狭湾をつなぐ運河に大蛇が出て川をふさいでしまい、舟が通れずに村人たちは大変困っていました。
そこで村の識者に相談したところ、「蛇は自分より大きいものに恐れる性質がある。」というので、村人はワラで大きい綱をつくり運河に張っておきました。
すると大蛇はその後出なくなり、村人は大変喜びました。そしてその縁起の良い綱に少しでも触れようと海中で引き合ったのが、この水中綱引きの由来として今も語りつがれています。
この水中綱引きの日は早朝より綱をつくり、この綱は午前中に日向湖と日本海をつなぐ運河に渡され、またその周りには色とりどりの大漁旗が張り渡されます。
午後から集合してお神酒をいただきます。
その間、村の代表者が宇波西神社に参拝し、午後2時頃、村の代表者が参拝より帰りしだい、多くの見物客に見守られ、色とりどりのハチマキ、さらしの腹帯、パンツひとつという格好をした若者が、日向湖付近にかかるたいこ橋の欄干の1番高いところに上がり、寒風が吹き荒れる中、次から次へと水中に飛び込んでいきます。
そして東西へそれぞれ泳いで分かれると、身を切られるような冷たい水で、全身を真っ赤にしながら、綱を切ろうと競り合い豊漁を祈願します。
20分くらいでどちらか一方が切れると綱を海の神に捧げるため、外海に流します。
引きちぎられる綱の直径30cm 長さ40mです。
若狭美浜町水中網引き開催日
◆開催日:1月の第3日曜日
◆スケジュール
5:00~ 稲荷神社の長床で、若者を中心に綱練り(約3時間)
9:30~ 綱が出来しだい、橋の欄干より投げ入れ、取り付ける。
同時に大漁旗も取り付け。
12:00~ お神酒等。その間村の代表者が宇波西神社へ行き、豊漁祈願の参拝
14:00~ 村の青年たちが橋の欄干等から川へ飛び込み、東西にわかれて綱を引きちぎる。
◆お問い合わせ先:美浜町商工観光課 TEL:0770-32-6705
◆アクセス
★JR美浜駅からバスで15分コミュニティバス日向線ゆうなぎ号「日向」下車から徒歩で1分
★舞鶴若狭自動車道若狭美浜ICから車で約20分
酒井忠勝を称え豊漁を祝ってはじめられた水中網引き
日向の綱引きは、正月15日に日向湖と若狭湾を結ぶ運河で行われる行事である。
この運河は江戸時代に関東から国入りした酒井忠勝が完成させたもので、もともと、関東では1月15日に綱引きを行い、一年の吉凶を占う風習があったため、酒井忠勝を称え、また、豊漁を祝って綱引きが始められたと伝えられている。