熊野那智大社の例大祭は、「那智火祭り」の通称で知られていますが、正式には扇祭または扇会式法会といいます。例年7月14日に開催されます。
那智の扇祭りとは
扇祭は「那智の火祭り」として1960(昭和35)年和歌山県の無形民俗文化財に指定され、例大祭にて奉納される田楽舞(那智の田楽)は1976(昭和51)年国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコの無形文化遺産にもなっています。
那智の火祭りは熊野那智大社に祀られている滝の神が、年に1度滝本の飛瀧神社への里帰りを行うもので、十二体の神々を御滝の姿を表した高さ6メートルの扇神輿十二体に遷し、熊野那智大社から御滝へ渡御をするものです。
那智の火祭りと呼ばれる御火行事は那智の滝の参道で行われ、十二体の扇神輿を重さ50kg以上の大松明の火で迎え清める神事です。
7月14日の例大祭では、午前中に無形文化財の大和舞、田楽舞、田植舞が奉納され、午後からは扇神輿が大社から旧参道を経て滝本の飛瀧神社へ運ばれます。
扇神輿が滝本へ向かうと、出迎えは12本の大松明に火を付けて石段を登り、扇神輿を大松明で迎え清めます。
この事が「扇祭」が「那智の火祭り」と呼ばれるようになったゆえんです。
当日は、那智大社境内にて午前11時から「大和舞」、午前11時30分から「那智田楽」が奉納されます。クライマックスとなる御滝本神事(大松明に点火)は午後2時から滝前の参道にて行われます。
那智の田楽
「那智田楽」は、足利時代の応永10年に京都から、田楽法師・宗正、法輪を招いて習得したものであると伝えられています。
演者は笛1人、笛控1人、ササラ4人、太鼓4人、シテテン(鼓役)2人の計12人です。演目は21曲と番外のあわせて22曲あり合計40分程を要します。
これらの演目には各地の田楽との共通点、同数の舞手が東西の組に分かれること、ササラと太鼓が一緒に行う舞の様式などが見られますが、他方でシテテンに独自の舞や所作があります。
田楽舞を創成期の形をそのままに伝えている全国的にも数少ない例として、国の重要無形民俗文化財に指定され、2012年には、ユネスコの無形文化遺産への登録が決定しました。
那智の火まつりへの交通アクセス
【電車の場合】
★大阪~紀伊勝浦
JRきのくに線新宮行 特急くろしお号で京都から約3時間50分、新大阪から3時間20分、大阪天王寺から約3時間・紀伊勝浦駅下車
★名古屋~紀伊勝浦
JR紀勢本線・名古屋から特急ワイドビュー南紀号で約3時間・終点、紀伊勝浦駅下車、紀伊勝浦駅より熊野交通バスで那智山バス停まで約30分 、タクシー約20分
【車の場合】
★大阪方面から
・大阪から国道168号線・国道42号線を経て那智勝浦町へ (約5時間)
・大阪から阪和自動車道→南紀田辺I→田辺西バイパス→国道42号線を経て那智勝浦町へ(約5時間)
★名古屋方面から
・名古屋から東名阪道・伊勢道・紀勢自動車道を利用し、熊野尾鷲道路→熊野
大泊IC→国道42号線を経て那智勝浦町へ(約4時間)→那智勝浦町より
約20分
◆お車でお越しの方
那智の火祭は交通規制が行われます。他のお祭りとは違い大規模な交通規制ではなく小規模な交通規制ですが、普段は自動車で参道まで行けるのですが那智の火祭の当日は参道まで車で行くことはできません。
例年通りですと午前11時の段階で大門坂のところで交通規制が行われます。
・那智山域の有料駐車場が満車になった時点で(例年10:30ごろ)那智山中腹にある臨時駐車場(大門坂駐車場他)に駐車後、熊野交通のシャトルバス(無料)での移動となります。
・那智山域が満車の場合、那智山へ向かう県道において「那智山満車」の啓発看板を提示しております。その際は臨時駐車場へ進んで下さい。
・臨時駐車場域では案内係がおられますので、指示に従って下さい。
※なお、那智山駐車場及び臨時駐車場にも限りがあります。出来るだけ公共交通機関を利用してお越し下さい。